最初は一枚のスプレッドシートで足り、手が追いつかなくなったら移す
自社サイトとモールに同じ商品を出し始めると、売れた商品をもう片方で下げ忘れることがあります。無い商品を売る失敗です。この記事は、一元管理システムを調べる手前で、スプレッドシートで足りる範囲と、システムへ移す境目を決めるためのものです。
運営者の時計店 Timeseek(timeseek.net)は、Shopify の自社サイトだけで売り、在庫のロケーションは日本の1か所で、一点物の在庫をスプレッドシートに1商品1行で管理しています。この記事の列の型はその運用から起こしたものです。運営者の見立てでは、商品数が多い店は手作業が追いつかないので、システムを入れるのが合います。
登録先の数・在庫の動き・毎日見る人の3つで、移す時期が決まる
この記事の判定で次の3つを選ぶと、スプレッドシートのままでよいかが分かります。
- 登録先の数: 自社サイト、楽天、Yahooショッピング、Amazon、店頭のうち、同じ商品を出す先がいくつあるか
- 在庫の動き: 売れる、入荷する、状態が変わる、といったことが日に何件起きるか
- 毎日見る人: 毎日一度、全登録先を見て回れる人がいるか。休みの日も含めて
列は八つで始め、「状態」の列を在庫の正にする
列は少ないほど続きます。次の8列で始め、足りなくなった列だけ足します。
| 列 | 入れる内容 | 使い道 |
|---|---|---|
| 商品番号 | 店で一意の番号。登録先が違っても同じ番号 | どの登録先の注文かに関係なく、同じ行を見つける |
| 商品名・型番 | 検索しやすい名前 | 登録先の商品ページとの対応 |
| 状態 | 販売中/売約済み/発送済み/検品中/取り下げ | 売れた瞬間に「売約済み」へ。これが在庫の正 |
| 登録先ごとの掲載 | 登録先の数だけ列を作り、掲載中/未掲載/下げ済み | 下げ忘れを一目で見つける |
| 登録先ごとの価格 | 登録先の数だけ列を作る | モールの手数料分を上乗せした価格を別に持つ |
| 仕入れ日・仕入れ先 | 日付と経路 | 古物台帳との対応 |
| 売れた日・売れた先 | 日付と登録先 | 反映の遅れを見つける |
| 保管場所 | 棚番など | 発送のとき探さない |
- 在庫の正は「状態」の列の一つだけ。各登録先の在庫数はこの列に合わせて手で直し、逆にしない
- 登録先の画面で先に在庫を直すと、シートと食い違ったときにどちらが正しいか分からなくなる
- 一点物は1商品1行。同じ商品を複数持つ店は、数量の列を足す
売約済みなのに掲載中の行を毎朝探すのが、作業のすべて
自社サイトとモールに時計を出す店の3商品(例)です。反映の手順を見るための例で、実在の店の数字ではありません。
| 商品番号 | 状態 | 自社サイト | モール | 自社価格 | モール価格 | 売れた日・先 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| W-001 | 売約済み | 下げ済み | 掲載中 | 入力済み | 入力済み | 9/10・自社サイト |
| W-002 | 販売中 | 掲載中 | 掲載中 | 入力済み | 入力済み | |
| W-003 | 検品中 | 未掲載 | 未掲載 |
- W-001 が失敗の入口。自社サイトで売れて「売約済み」にしたのに、モールが「掲載中」のまま。翌朝の確認でこの行を見つけ、モールで下げて「下げ済み」に変える
- 毎日の作業は、状態が売約済みなのに掲載中の列がある行を探すことだけ
- W-003 は返品や仕入れ直後で検品が終わっていない商品。検品が終わるまでどこにも出さない
登録が手で追いつかなくなったら、システムへ移す
上から順に当てて、最初に当たった行で止めます。件数の境目は運営者の目安です。
| 条件 | 判定 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 登録先が1つ | シート不要 | カートの在庫数だけで足りる |
| 登録先が2〜3、在庫の動きが日に数件、担当が毎日見られる | スプレッドシートで続ける | 上の列で運用し、下げ忘れを毎朝探す |
| 新商品の登録が各登録先で手作業で、週の作業時間が増え続けている | 一元管理システムを比べる | ネクストエンジンなど国内4社を、在庫の正をどこに置くかで比べる(一元管理システムの比べ方) |
| 在庫の動きが日に十数件を超え、下げ忘れが実際に起きた | 一元管理システムを入れる | 同上。手作業では反映が間に合わない |
| 担当が休む日に誰も見られない | 一元管理システムか、営業時間外の受注を止める仕組み | 売り越しの受け止め方を先に決める |
無料の表計算の絞り込みだけで、下げ忘れを毎朝見つけられる
スプレッドシートは無料の表計算で足ります。登録先が増えたら「掲載」と「価格」の列を足すだけで、毎朝の確認は「状態」が売約済みか発送済みで「掲載」に掲載中が残る行を、表計算の絞り込みで探せば済みます。
古物商の台帳(取引の記録)は、この在庫シートとは別に要ります。仕入れ日・仕入れ先・売れた日の列があれば、台帳へ転記しやすくなります。
反映と登録を自動にしたいときだけ、システムを入れるか開発会社に頼むかを比べる
在庫の反映と登録を、スプレッドシート・一元管理システム・開発会社への依頼のどれでやるかの比較です。
| 条件 | スプレッドシート | 一元管理システム | 開発会社に頼む |
|---|---|---|---|
| 売れたら他の登録先で下げる | 翌朝までに手で | 自動。ネクストエンジンは、ネクストエンジン側の在庫数を Shopify へ自動で反映する方式で、マルチロケーションには非対応 | 頼む範囲に入れる |
| 新商品を各登録先に登録する | 手で1件ずつ | 対応する登録先へ一括。ネクストエンジンの Shopify 連携は受注・在庫・出荷通知が対象で、商品登録には使えない | 頼む範囲に入れる |
| 価格を登録先ごとに変える | 列を分けるだけ | ネクストエンジンの Shopify 連携は商品登録・ページ修正の対象外なので、Shopify の価格は Shopify で持つ | 頼む範囲に入れる |
| 追加費用 | 無料 | ネクストエンジン: 基本料金3,000円/月(税抜、受注200件まで。201件目からは区分ごとの従量で1件35円〜5円)、初期費用0円、契約から1年たつと毎年、前年分の年間保守費用15,000円(税抜)、有料アプリは別料金、無料体験は申込日を含め30日間。Shopify の自動連携に要るアプリ「Shopify用 自動連携」は初期・月額とも0円 | 開発会社の見積もり |
| 戻し方 | そのまま続ける | シートを在庫の正のまま残し、シートに戻る | 戻す手順も納品物に含めてもらう |
- 一元管理システムの国内の候補は、ネクストエンジン、GoQSystem、TEMPOSTAR、助ネコ。4社の料金と対応範囲は一元管理システムの比べ方で比べている
- Shopify で商品登録まで自動にしたい店や、複数の拠点で在庫を持つ店には、ネクストエンジンの Shopify 連携では足りない。その場合は、登録の自動化を開発会社に頼む範囲に入れる
シートで始め、境目に当たったらシステムを選ぶ
- 一元管理システムを入れる: 在庫の正をどこに置けるか、対応する登録先、料金の単位で国内4社を比べる(一元管理システムの比べ方)
- 迷う場合: 運営者への有料の相談も用意しています(受付は準備中)
シートを在庫の正のまま残し、システムを止めても戻れるようにする
- 商品番号の付け方を決める。登録先が違っても同じ番号にする
- 上の8種類の列で一枚作り、今ある商品を全部入れる
- 各登録先の掲載の有無と価格を、シートの列と一致させる。食い違いがあればシートを正にして登録先を直す
- 毎朝の絞り込み(売約済みなのに掲載中)を運用に入れ、1週間は下げ忘れの件数を数える
- 新商品の登録に、週に何時間かかっているかを見る
- 境目の表に当たったら、一元管理システムを比べる。切り替えの前に、シートを在庫の正のまま残す
戻し方の要はシートです。一元管理システムを入れても、シートは在庫の正のまま残します。止めたり解約したりしたら、シートの運用に戻ります。