売り方で決め、国内のカートで足りれば無料プランから始める

この記事は、これからネット販売を始める人と、今のネットショップを移すか迷っている人が、BASE・STORES・カラーミーショップ・おちゃのこネット・Shopify のどれで店を開くかを、売り方で決めるためのものです。言葉は次の意味で使います。

  • カート: ネットショップを作って売る仕組み
  • 標準機能: 契約したままの状態で使える機能
  • 見た目の編集: 店の見た目のひな型(テーマ)を少し直すこと
  • アプリ: あとから足す追加機能。無料のものと有料のものがある
  • 中心の売り方: 売上の多くを生む売り方

標準機能・見た目の編集・アプリで足りなければ、誰かに頼むことになります。

運営者の時計店 Timeseek(timeseek.net)も、開業のときに BASE とカラーミーショップを検討しました。Shopify だけで運営することにしたため契約には至っていませんが、この記事はそのときの検討をもとに、例も Timeseek の売り方で書いています。

向かない選び方は、次の三つです。

  • 「問い合わせで相談してから値段を決める」のように、中心の売り方が標準機能にもアプリにもないまま契約し、あとからアプリを重ねて手が回らなくなる
  • 月額0円のカートで足りる店なのに、機能の多さだけで月額のかかるカートを選び、売れる前に固定費だけが積み上がる
  • ChatGPT や Google の AI 経由で売れることを当てにして選び、利用できる地域や売る相手の条件が自分の店に当てはまらない

今の売り場・引き継ぐもの・売る地域・直せる範囲の4つで、候補のカートが絞れる

記事の冒頭の判定で、店の状態・中心の売り方・売る地域・自分で変えられる範囲を選ぶと、Shopify が向くかが分かります。判定の前提になるのは、次の四つです。

  1. 今の売り場: 自分で借りたサーバーの店、月額のネットショップサービス(BASE や STORES など)、楽天などのモール、まだ何もない
  2. 引き継ぎたいもの: 商品、商品ページの住所(URL)、お客様の情報、注文の記録のうち、新しい店へ持っていきたいもの
  3. 売る相手の地域: 日本国内だけか、海外にも売るか。通貨と税込表示の扱いが変わる
  4. 自分で直せる範囲: 見た目の編集を自分でやるか、プログラムの修正は外に頼むか、アプリを足してよいか

四つ目は抜けやすい項目です。見た目の編集を自分でできる人がいなければ、その作業も外に頼む側に入ります。店の状態と困っていることを選んで整理するなら、店舗の条件を整理する道具が、先に確かめる項目を順番に並べます。

国内の4社で足りる店に、Shopify の月額は要らない

条件BASESTORES ネットショップカラーミーショップおちゃのこネットShopify
月額0円で始めるできる(決済3.6%+40円とサービス利用料3%)できる(決済5.5%〜)できる(決済6.6%+30円〜。30円は税抜。税込で33円)できる(決済6.6%税別、商品100点まで)オンラインストア向けはできない(月額0円の Agentic は AI チャネル販売向け)。3日間の無料体験のあと有料
有料プランの最初の段の月額16,580円(年払い、税込)/19,980円(月払い)3,300円(年契約、税込)/3,960円(月契約)4,950円(税込、初期3,300円)3,960円(12か月契約、税込)/4,400円(1か月契約)Basic から4段。月払いと年払いで金額が違う
独自ドメイン無料の App で www.example.com や shop.example.com の形(example.com の形は不可)スタンダードから。STORES で新しく取るドメインだけで、example.com の形で出るフリーから使える。フリーでは常時SSL(月1,100円)が要り、カラーミーで取るドメインなら独自ドメインオプション(月550円)も要る。example.com の形でも出せるベーシックから(設定費用7,920円が別)。www.example.com の形で出る接続できる
商品ごとに状態・付属品を出し分けるテンプレートしだいテンプレートしだいテンプレートしだいテンプレートしだいテーマの編集と商品ごとの項目で対応(運営者が Timeseek の一部の商品で利用)
ネクストエンジンとつなぐ受注・在庫・商品に対応(自動連携にはアプリが必要)受注・在庫に対応(商品登録は対象外、自動連携にはアプリが必要)同左受注・在庫に対応(商品登録は対象外、英語表記は非対応)受注・在庫に対応(商品登録は対象外、自動連携にはアプリが必要)
別に作った仕組みをつなぐ限られる限られる限られる限られる広い
  • 海外にも売るなら、Shopify は標準の範囲に海外販売の機能があります。現地通貨で価格を出すには Shopify ペイメントが要ります。国内の4社の海外販売は、この表では比べていません。
  • 「テンプレートしだい」「限られる」「広い」は、運営者の見立てです。

時計店 Timeseek の例では、中心の売り方で条件しだいなのは在庫の一元化だけ

Timeseek の商品は、同じものが二つない一点物の時計が中心です。商品ごとに状態や付属品、保証の有無が違い、同じ商品を複数の売り場に出すこともあります。

次の表は、Timeseek の売り方を Shopify に当てはめた想定の例です。「売上の中心か」の列が判定を決め、「仕分け」は、その売り方を何で満たすか(標準機能・見た目の編集・アプリ・外に頼む)と、満たせないもの(できない)、売り場や決済会社の条件で方法が変わるもの(条件しだい)を表します。

売り方・条件必要か売上の中心か仕分け
商品を1点ずつ持ち、売れたら売り切れにする必要中心標準機能
状態・付属品・保証の有無を商品ごとに表示する必要中心見た目の編集
今の商品ページの住所を新しい店の住所へ転送する必要中心標準機能(管理画面で設定し、CSV で一括登録できる。通常プランで100,000件まで)
過去の注文の記録を引き継ぐあると良い中心でない代わりの方法で足りる(引き継がず、今の店の記録を保管する)
日本円・税込で表示する必要中心標準機能
同じ商品を複数の売り場に出し、在庫は一つにする必要中心条件しだい(売り場の組み合わせで方法が変わる)
分割払いに対応するあると良い中心でない条件しだい(決済会社の条件で変わる)
ChatGPT・Google の AI 経由で売る不要中心でない使わない(利用地域・売る相手・規約に条件がある)
  • この表に「できない」はありません。中心の行で残る「条件しだい」は在庫の一元化だけで、下の判定の表では「比べてから決める」に当たります。
  • 在庫を一つにする方法は、複数モールで在庫を共通にする方法と一元管理サービスの比べ方にあります。
  • 「問い合わせで相談してから値段を決める」を中心にしたい店は、商品ページに値段を相談する仕組みがない前提で「できない」になります。
  • その代わりに、商品ページには値段を出して問い合わせの窓口を置き、相談は商品ページの外でやります。これで中心が保てるなら「標準機能(代替あり)」として先へ進め、保てないなら Shopify を外します。

表を上から当て、最初に当たった行で判定と次の行動が決まる

条件判定次の行動
今の店で「中心」の行が全部できている今の店を続けるほかに移る理由を言えるときだけ考え直す。移行しない方がよい条件は次の節
「中心」の行が国内のカートの標準機能で全部できる国内の無料プランで始める月額0円のプランで開き、月商が境目を超えたら有料へ移す。境目は無料で開業するカートの比べ方にある
「中心」の行に、商品ごとの出し分け・海外販売・自動のつなぎ込みがあり、国内で足りないShopify を候補にする中心の売り方が Shopify の標準機能か見た目の編集で全部できるなら、契約に進む
「中心」の行に「できない」があり、代わりの方法でも中心が保てないどのカートも向かない今の店を続ける(次の節の三つの問い)、モールだけで売る、注文はカートを使わず問い合わせで受ける、のどれかを比べる
「中心」の行に「条件しだい」が残っている比べてから決めるその売り方を扱う記事で方法を比べてから、この表に戻る。在庫の一元化なら複数モールで在庫を共通にする方法
候補のカートで「中心」の行が全部「標準機能」か「見た目の編集」向くアプリなしで契約に進む。移す場合は、下の移す項目の表で欠ける項目を先に見つける
「中心」の行に「アプリ」「外に頼む」が混じる比べてから決めるアプリの費用と、下の比較の表にある、開発会社に頼む場合の手間と費用を並べる

今のカートから移す場合は、三つの問いで先に止まる

BASE、STORES、カラーミー、EC-CUBE、自分で組んだカートで店を回していて、Shopify へ移るよう勧められている人は、売り方の表の前にこの節を使います。勧める理由の「アプリが多い」「テーマが選べる」「あとで広げやすい」は、今の店で何が止まっているかには答えていません。下の三つの問いに一つでも「いいえ」があれば、今は移行しません。

問1 移らないと解決しない課題があるか問2 欠ける項目を許容できるか問3 失敗したとき戻せるか判定
いいえ問わない問わない移行しない。今のカートの設定や標準機能で解決する
はいいいえ問わない今は移行しない。欠ける項目の代わり(保管、お客様への説明)を決めてから再判定
はいはいいいえ移行しない。今の店を残す並行期間を確保してから再判定
はいはいはい移行を検討する。上の売り方の表と、移す項目の表へ進む
  • 問1の「課題」は、「商品ごとの状態と付属品を出し分けたい」「絞り込み検索を商品の項目で作りたい」のように、具体的に言えるものです。言えなければ、答えは「いいえ」です。
  • 今のカートの設定やアプリで済むなら、移行の理由になりません。

移行しない方がよい条件も三つあります。どれも切り替えの前日に気づいても間に合いません。

  • ポイント残高と注文の記録を移せないまま切り替え、常連から「残高はどうなったのか」と聞かれて答えられない
  • 旧住所の転送表を作らずに切り替え、検索から来ていた商品ページが全部「ページが見つかりません」になる
  • 代引きや銀行振込が移行先で同じ条件で使えず、その方法で買っていたお客様の注文が止まる

国内なら月額0円のプランから、Shopify でもアプリを足さずに始める

各社の無料プランと、月商いくらで有料の方が安くなるかの境目は、無料で開業するカートの比べ方にあります。

  • Shopify を候補にする場合も、アプリを先に探しません。仕分けが「標準機能」と「見た目の編集」だけで中心が埋まるなら、追加のアプリなしで契約に進めます。
  • Shopify は、3日間の無料体験のあと、ほとんどのプランを最初の3か月間、月額150円で使えます。
  • アプリを比べるのは、中心の行に「アプリ」が残ったときだけです。アプリを外したときの表示の戻り方を契約前に試せるかを、先に見ます。

売り方ごとに、標準機能と開発会社への依頼のどちらで満たすかを見る

標準機能の列は Shopify の場合です。

売り方・条件標準機能開発会社に頼む
商品を1点ずつ持ち、売れたら売り切れにするこの記事では試していない不要
状態・付属品・保証の有無を商品ごとに表示するテーマの作りしだい。見た目の編集で対応できる頼む範囲に入れる
今の商品ページの住所を新しい住所へ転送する管理画面と CSV で設定。上限は通常プラン100,000件頼む範囲に入れる
商品のデータを移す一覧表(CSV)で取り込める。商品名・型番(SKU)・価格・在庫・商品ごとの項目(メタフィールド)の列がある頼む範囲に入れる
問い合わせで相談してから値段を決める商品ページに仕組みはない前提。問い合わせ窓口で代替要件しだいで見積もり
追加でかかる費用プラン料金と決済手数料開発会社の見積もり
戻し方今の店を並行して残す戻す手順も納品物に含めてもらう

商品120点・会員800人の時計店の例では、転送表と残高の説明が移行の条件になる

次の表は、商品120点・会員800人の時計と革小物のネットショップを移す場合の例で、実在の店の数字ではありません。

項目現状維持(今のカート)移す方法移行で欠ける・変わる判定
商品120点(状態・付属品の独自項目あり)そのまま使えるCSV で取り出し、対応表を作って取り込む独自項目の入れ先を決める必要がある移せる。対応表が要る
注文の記録3年分管理画面で見られる移行先の取り込みの機能で決まる移せない分は CSV で保管し、問い合わせ対応に使う欠けを許容できるか店主が決める
会員800人とポイント残高残高が生きている会員情報を移せるかは、移行先の取り込みの機能で決まる。ポイント残高は同じ仕組みでは移せない(この例の前提)残高の扱いをお客様に説明する必要がある説明の段取りがなければ移行しない
旧住所 /item/12345(検索からの来店あり)変えない旧住所ごとの転送先を一覧にし、CSV で一括登録転送表がなければ検索からの来店が落ちる転送表がなければ移行しない
決済(クレジット・代引き・銀行振込)今の条件のまま移行先で使える決済に置き換える代引き・銀行振込の運用が変わることがある移行先で同じ決済を使えるかで決まる
配送・送料の例外ルール今の設定のまま標準の配送設定に置き換える地域別・商品別の例外が再現できないことがある移行先で例外を再現できるかで決まる
ブログ40本そのまま手作業で移す画像と内部リンクの張り替え作業時間を見積もる
会計ソフトとのつなぎ動いている移行先に対応したつなぎ方に切り替える未対応なら手入力が増える移行先に対応したつなぎ方があるかで決まる
  • 「〜で決まる」の行は、移行先で同じことができるかで結論が変わります。移せる前提で進めず、移行の条件として残します。

費用は「何にいくら」の単位をそろえてから金額にする

費目単位
プラン料金月か年。Basic・Grow・Advanced・Plus の4段で、月払いと年払いで金額が違う
決済手数料売上に対する割合。支払い方法とプランで違う
アプリ一つずつ。月額、使った分だけ、無料のどれか
テーマ買い切りか無料か
店の住所(ドメイン)年
外に頼む作業時間か一式か
  • 金額を比べるときは、含まれるものと含まれないものを分け、税・契約期間・解約の条件をそろえます。
  • 古い料金では合計を出しません。
  • 年間の合計を架空の料金例で並べたいときは、構成と費用を比べる計算機が同じ期間と件数で三つの構成を並べます。

今の店を残したまま試し、住所の切り替えは最後にする

判定が「向く」で止まったら、次の順で進めます。

  1. 契約前に試せる環境があれば、試しの商品を数点入れて、1点だけの商品の売り切れ表示と税込の表示を確かめる
  2. 引き継ぐものを商品・商品ページの住所・お客様・注文の記録に分け、持っていくものと持っていかないものを決める
  3. 今の住所から新しい住所への転送の一覧を作り、CSV で一括登録する。件数が上限(通常プラン100,000件)に収まるかを先に数える
  4. 切り替える日と戻し方を決めてから契約する。今の店は、切り替えたあとも一定の期間は止めない
  5. 本番の切り替えは、試しの環境での確認と戻し方の共有が済んでから行う
  • 戻し方は、今の店を残しておくことです。店の住所(ドメイン)の切り替えは最後にして、戻すときは住所を今の店へ向け直します。
  • 商品のデータは、切り替え前に今の店から取り出して保管します。Shopify 側で編集した内容は、戻すと失われる前提で扱います。
  • 住所の切り替えは自動でやらず、対象と影響を確かめてから手で行います。
  • 移したあとの検索まわりは、足す前に確かめます。Shopify は正規URLの指定(canonical)、ページ一覧(sitemap)、巡回の許可(robots)を標準で出し、ページの題名と説明文はテーマが出します。この標準の出力を先に確認して欠けと重なりだけを直し、検索エンジン向けのアプリを足すのを最初の手にはしません。