対象と結論
会社に勤めながら、中古の時計や一点物の雑貨をネットで売り始めたい。そのとき最初に迷うのが「個人事業でいいのか、会社を作るべきか」です。この記事は、その一点だけを決めるためのものです。読み終わると、自分がどちらで始めるか、開業届をいつまでに出すかが決まります。
結論は、副業なら個人事業から始める、です。理由は三つ。開業届は無料で、税務署に紙を一枚出せば済む。事業所得に損失が出た年は、その損失を給与所得など他の所得から控除できる(国税庁タックスアンサー No.2250、確認日 2026-09-11)。青色申告にすれば、最高65万円の特別控除と、損失を翌年以後3年間繰り越す仕組みが使える(No.2070、同日)。法人にするのは、取引先が法人を求める、利益が安定して法人の方が税率で有利になる、のどちらかが実際に起きてからでよい。
運営者の意見も先に書いておきます。運営者の時計店 Timeseek(timeseek.net)を運営する立場からは、副業で始めるなら個人事業を勧めます。副業の初年度は仕入れと道具で赤字になりやすく、その損失を給与の側と通算できる仕組みは、手元のお金を守るうえで大きい。ただし損失を出せばよいという話ではありません。事業として認められる実態(継続して売る、帳簿を付ける、在庫と売上を記録する)があって初めて事業所得になります。ここが崩れると、後で述べる「雑所得」の扱いになります。
この記事は税額を計算しません。個別の判断は税理士か税務署で確かめてください。書くのは、何を確かめてどう決めるかの型だけです。
条件を確認
先に、自分の状況を五つ書き出します。
- 本業の所得: 給与所得があるか。あるなら、副業の損失と通算する相手がある
- 初年度の見込み: 仕入れと道具の支払いが売上を上回りそうか。上回るなら損失が出る
- 帳簿: 会計ソフトで銀行とカードを連携し、月に一度は取引を仕分けられるか
- 取引先: 仕入れ先や卸先に、法人でないと取引しないところがあるか
- 中古品の扱い: 中古品を仕入れて売るなら古物商許可が要る。許可は個人でも法人でも取れる(別の記事で扱う)
事業所得と雑所得は別のもの
副業の収入は、自動的に事業所得になるわけではありません。国税庁の資料では、副業の営利目的の継続的な収入は「業務に係る雑所得」として説明され、収入が300万円を超える場合は現金預金取引等関係書類の保存が求められています(No.1500、確認日 2026-09-11)。雑所得の損失は他の所得から控除できません(No.2250 の注記)。つまり、損失を給与と通算できるのは、事業所得として申告できる実態があるときだけです。
事業所得と雑所得を分ける基準そのものは、この記事で読んだページには明記されていません。継続性、帳簿の有無、事業としての規模が判断材料になるとされますが、ここは自分の状況を税理士か税務署に確かめる項目です。この記事ではその境目を断定しません。
判定と次の行動
| 条件 | 判定 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 本業の給与があり、初年度は損失の見込み。帳簿は付けられる | 個人事業で始める | 開業届と青色申告承認申請書を出す。会計ソフトで銀行・カードを連携する |
| 帳簿を付ける自信がない | 個人事業で始めるが、先に会計ソフトを決める | 銀行とカードの連携で仕分けが自動になるソフトを選ぶ(比較は下) |
| 仕入れ先や卸先が法人を求めている | 法人を検討 | 相手の条件を文書で確かめてから、合同会社か株式会社を比べる |
| 利益が安定し、法人の方が税で有利と税理士が言った | 法人成りを検討 | 個人事業を廃業して法人へ移す手順を税理士と組む |
| 事業の実態(継続・帳簿・在庫記録)を作れる見込みがない | 雑所得として申告 | 損失の通算は使えない前提で始めるか、実態を作れる規模になるまで待つ |
上から順に当てて、最初に当たったところで止めます。
架空の例で損益通算の向きを見る
架空の副業店主の1年です(架空データの例。実在の人物や金額ではなく、税額も計算していません)。給与所得が400万円、初年度のネット販売は売上60万円に対して仕入れと道具で90万円かかり、事業所得は30万円の損失。事業所得として申告できる実態があれば、この30万円は給与所得など他の所得から控除され、総所得は370万円で計算されます。雑所得として扱われた場合は、30万円の損失は他の所得から控除できず、総所得は400万円のままです。差が出るのはこの一点で、この差を得るために事業の実態と帳簿が要ります。
無料・標準機能で足りる場合
個人事業の開業に、お金はかかりません。開業届(個人事業の開廃業等届出書)は、事業を始めた日の属する年分の確定申告期限までに税務署へ出します。青色申告承認申請書は、1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内が期限です(No.2090、確認日 2026-09-11)。この2か月を過ぎると、その年は青色申告の特典が使えません。開業届と同時に出すのが一番簡単です。
書類は税務署の窓口でもらえますが、会計ソフトの無料の開業届作成機能で作る方が早い。運営者は freee の開業届の機能でそのまま提出しました。マネーフォワード クラウドにも同じ機能があります。どちらも作成は無料で、出したあとの会計ソフトの契約とは別です。
青色申告の特典は、65万円の控除を取るなら電子帳簿保存か e-Tax での申告が条件で、紙で出すと55万円、簡易な帳簿なら10万円です(No.2070)。会計ソフトで銀行とカードを連携しておけば、65万円の条件を満たす帳簿は自然にできます。
比較
個人事業と法人を、始めるときの手間と税の扱いで並べた表です。設立費用の額は法務局の公式資料で確認し、この記事には書きません。
| 条件 | 個人事業 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|---|
| 始める手続き | 開業届を税務署へ。無料 | 定款と登記。登録免許税などがかかる(額は法務局で確認) | 定款の認証と登記。合同会社より費用が多い |
| 損失が出た年 | 事業所得なら他の所得と通算。青色なら3年繰越(No.2250、No.2070) | 法人の損失は法人の中で繰越。給与側とは通算しない | 同左 |
| 帳簿と申告 | 会計ソフトで自分でできる。青色で最高65万円控除 | 法人税の申告。多くは税理士に頼む | 同左 |
| やめるとき | 廃業届を出す | 解散と清算の登記 | 同左 |
| 取引先の見え方 | 個人名。卸先によっては法人を求められる | 法人名で取引できる | 同左。信用面ではもっとも通りやすい |
| 実店舗での検証 | 未実施 | 未実施 | 未実施 |
会計ソフトの選び方
個人事業で始めるなら、会計ソフトは「使っている銀行とカード、売り先のネットショップと自動でつながるか」で選びます。運営者は freee を使っていて、確定申告の負担が減った実感があります。マネーフォワード クラウドとの違いは小さく、画面の好みで選んで構いません。やよいの青色申告 オンラインは低価格ですが、管理画面に癖があるという運営者の見立てで、法人化を見据える人向けと考えています。各社の料金と連携先は公式ページで確認し、確認日を控えます。運営者と各社の紹介提携は未確認で、この記事に紹介リンクはありません。提携が確認できたら、通常のリンクと区別した紹介リンクをここに置きます。
進め方を選ぶ
- 個人事業で始める: 会計ソフトの無料の開業届作成で、開業届と青色申告承認申請書を作って出します。ソフトの契約は、銀行とカードを連携して1か月分を仕分けてから決めます
- 法人で始める: 取引先の条件を文書で確かめてから、合同会社か株式会社を税理士と比べます。この記事の範囲外です
- 迷う場合だけ相談する: 相談から状況を送れます(任意。受託は初期の範囲外で、税務の個別判断はしません)
どの進め方でも、この記事の表を使うのに登録や紹介リンクは要りません。
導入・検証・戻し方
個人事業で始める場合の順番です。実行ログはなく、運営者の経験に基づく提案です。
- 事業用の銀行口座とカードを、私用と分けて用意する(別の記事で扱う)
- 会計ソフトの無料の開業届作成で、開業届と青色申告承認申請書を作り、税務署へ出す。青色は開業から2か月以内
- 会計ソフトに事業用の口座とカードを連携し、最初の月の取引を仕分ける
- 中古品を扱うなら、古物商許可を所轄の警察署へ申請する(別の記事)
- 年末に、売上・仕入れ・経費・在庫を帳簿で確かめ、事業の実態が記録として残っているかを見る
- 確定申告は e-Tax で行う。65万円控除の条件になる
戻し方は、個人事業なら廃業届を出すだけです。法人にしたあとで個人事業へ戻すのは手間が大きいので、法人成りは利益が安定してからにします。
検証と制約
実店舗での検証は未実施です。この記事の判定表と例は、運営者の経験と国税庁の公開資料から作った判断の型で、架空データの例を含みます。税額や還付額は計算していません。
国税庁の資料で確認日つきに書けたのは、損益通算の対象と対象外(No.2250)、副業の雑所得の扱いと300万円の書類保存(No.1500)、開業届と青色申告承認申請書の期限(No.2090)、青色申告の控除額と繰越(No.2070)の四つです(2026-09-11)。事業所得と雑所得の区分の基準、法人の設立費用、法人と個人の税率の比較は、この記事では扱っておらず、税理士か公式資料で確かめる項目です。
会計ソフト各社(freee、マネーフォワード クラウド、弥生)について、運営者の紹介提携は未確認です。この記事に紹介リンクはなく、置く場合は通常のリンクと区別する属性を付けます。運営者が freee を使っているのは事実ですが、それを理由に他社より優れていると書いてはいません。
出典
- N01: No.2250 損益通算(国税庁、確認日 2026-09-11)
- N02: No.1500 雑所得(国税庁、確認日 2026-09-11)
- N03: No.2090 新たに事業を始めたときの届出など(国税庁、確認日 2026-09-11)
- N04: No.2070 青色申告制度(国税庁、確認日 2026-09-11)
- G01: 役に立つ、人を第一にしたコンテンツ(Google、確認日 2026-09-07)
- G02: Google Web Search spam policies(Google、確認日 2026-09-07)
- V301: Google Search generative AI optimization guide(Google、確認日 2026-09-07)
- V306: Structured data general guidelines(Google、確認日 2026-09-07)
- V308: Qualify outbound links(Google、確認日 2026-09-07)
紹介関係の開示: この記事で名前を挙げた freee、マネーフォワード クラウド、弥生について、運営者の紹介提携は未確認です。紹介リンクは置いていません。表を使うのに登録や紹介利用は要りません。